【羽化の作法 89】現在編 まつむらまきおさんがデジクリ降板してしまった

●まつむらまきおさんがデジクリ降板!

まつむらまきおさんが、デジクリを降板してしまった。

いつだったか詳しくは思い出せないのですが、「インターネット」が普及し始めた頃、「ピピーッ、ガガガガーッ」という音が鳴ってネットに繋がってた時代です。私は「マッキントッシュ」を持ってる友達の家でいろいろな「ホームページ」を見ながら「正直なんかつまんないなー」って思っていました。

当時はまだ画面で見る「かわら版」のような感じで、インタラクティブもリアルタイム性もあまりなかったのです。それでもなんとなく、インターネットの登場は「革命」であることだけは直感していました。それは誰でも「発信者」になれる革命でした。

今では誰でも複数アカウントを持ち、息を吐くように自分の想いをSNSなどにアップできますが、20世紀まではパブリックに発信するのって結構大変なことだったのです。

家にISDNを引いて「ホームページ」を作ろうと、いろんなサイトのソースコードを眺めながらHTMLを覚えました。そう言えばもう「ソースを表示」なんて、ブラウザのどこにあるのかさえ分かりません。

そんな時に偶然見つけたのが、まつむらまきおさんが主催してる「バカフラ」と言うサイトでした。「バカフラ」とはマクロメディア社の「フラッシュ」というソフトを使って、おバカな作品を投稿するサイトです。
▶︎ Bak@Fla

思わず笑い転げてしまうようなおバカな作品もあるのですが、スクリプトを使った美しい作品もあり、レベル問わずいろんな人がいろんな作品を投稿していました。とにかく「自由」だったのです。

そしてどんな作品にも、まつむらさんがひとことコメントを入れて突っ込んでいて、それが100倍以上にも面白くさせていたのです。「これがインターネットの可能性だ!」と思いました。

バカフラ、今もあるようですが稼働はしてないようです。フラッシュ自体が廃れてしまいましたからね。
▶︎ Adobe Flash

なんかいまいちピンと来なかった「インターネット」に、光を見出した。それが「フラッシュ」というソフトだったのです。そして、笠居トシヒロさんが主催してる「フラッシュメーリングリスト」にも参加してひたすらロムりました。

私は「いつかフラッシュを使えるようになって「バカフラ」に投稿しよう!」という夢を抱き、バカフラの投稿作品を楽しみにしながら、フラッシュMLを読んでいました。

そして、いよいよ意を決して「フラッシュ」を買いました。参考書はまつむらまきおさんの「おしえて!!FLASH 4」です。
(参照:おしえて!!FLASH 8 )

そのあたりで「バカフラのまつむらさん」「フラッシュMLの笠井さん」がメールマガジンに執筆してることを知り、「これは読むしかない!」と、読み始めたのがこの「日刊デジタルクリエイターズ」です。

その頃は、まつむらさんと笠井さんが二人でチャットしている「MKチャット対談」でした。二人のやりとりがとっても愉快なのです。そして私は「デジクリに執筆したい!」と、思い切って柴田編集長にメールを送って、今に至っております。

私は山根康弘氏とのチャットレビューを執筆しますが、それは「MKチャット対談」のような、面白い内容を目指していたからでした。

「MKチャット対談」で特に印象に残ってる回はこれです。

▶︎ 『MKチャット対談 首都圏防衛にレオパルド/笠居トシヒロ&まつむらまきお

対談の前半を「■」で埋めるという表現に衝撃を受けました。

私にとってデジクリとは、言ってみれば「まつむらまきお」さんなワケなんです。そのまつむらさんがデジクリから去ってしまわれます。

▶︎ 『 ユーレカの日々[73]さよならデジクリ/まつむらまきお 』

まつむらさんのテキストに対しては、本当に隅から隅まで淀みなく同意します。本当におっしゃる通りだと思います。

まつむらさんは降板してしまうばかりでなく「ユーレカ以降のものはバックナンバーも、削除していただこうと思う」と書いておられます。

私の気持ちはツラく、引き裂かれております。なぜなら、まつむらさんの『ユーレカの日々[73]さよならデジクリ』には、心底共感するにも関わらず、まつむらさんと同じ行動にならない自分がいるからです。今もこうしてデジクリで書いていますし。

それは隔週で文章を書くことが、今の自分にとって良い「場」だと捉えてるからです。そしてもうひとつは、柴田編集長から「武さんその左翼的な原稿はやめてくれませんかね」みたいな思想の牽制は一度もなかったからです。文章のクオリティに対するダメ出しはあっても。原稿が遅いと叱られますが。しかし「これぞ編集長の仕事」と私は思っております。

私は現状のまま続行しようと思います。


●参議院選挙について

参議院選挙、終わりましたね。私は「投票済証」を貰ったのでツイートしました。「選挙に行った証書みたいなのください」と言えば貰えます。
なんてツイートしたのですが、

《21日に行われた参院選埼玉選挙区の投票率は46.49%(男47.18%、女45.80%)で、2016年の前回(51.94%)を5.45ポイント下回った。1992年7月の37.94%、95年7月の38.92%に次いで、過去3番目に低い投票率となった。》
ですって。とほほ。
http://www.saitama-np.co.jp/news/2019/07/22/11_.html

上尾市を調べてみると投票率46.95%。ほんの少しでも高くて良かった(苦笑)
http://www.pref.saitama.lg.jp/e1701/documents/ah_tohyo_k.pdf

もっとも埼玉県は過去30年の投票率は全国ワースト2位みたいなんですわ。


全体では戦後2番目に低い投票率になってるみたいです。《今回の参議院選挙の投票率が48.80%で確定となりました。投票率が5割を切ったのは戦後2回目で、1995年の44.52%に次ぐ低さとなっています。》
https://johosokuhou.com/2019/07/22/16428/

投票率低いですね。投票をしてない人たちは悪い人・ダメな人呼ばわりされています。確かにまあ権利を行使しないのだから「ダメな人」ではあるでしょう。投票率が低い理由について、マス・メディアが悪いとか教育が悪いと言ってる人が多い感じがしますが、私はそういう啓蒙の問題ではなくて、何か根本的な、システムそのものの問題のような気がしています。

とりあえず、当選でだるまに目を入れてみんなでバンザーイ! って禁止にしませんか?

というのは半分本気の冗談ですが、でも、ひょっとしたらすでに現在では「投票における政治機能性」って、大部分が消えている可能性ってないだろうか? また或いは選挙という方法が効力を発揮する、ヒットポイントがずれてしまっているのではないだろうか? とか思うのです。

例えば、首都圏の投票率がやたら低いのは(上記参照:ワースト1位から千葉、埼玉、茨城、神奈川)、地元の行政よりも東京を中心とした経済の方が、圧倒的に暮らしを支えている実感があるからだったりしませんかね? 地元行政が何してるかって意識に上らない、というか。

ひょっとして「埼玉に住むことにした」ってこと自体が、「政治判断の全て」に成り得てるとかってないでしょうかね?

なにかそういった「政治」の次元からして違うというか、選挙という枠組みとは、シュールなレベルで違ってきてしまっている「政治の事実」ってないですかね。

でも、埼玉だって行政がなければ困りますよね? その行政の駆動の仕方って、選挙ではない民主制の在り方、例えば前に書いた「糞尿民主制」みたいな違うシステムに移行した方が良かったりしませんかね?

▶︎ 『 羽化の作法[86]現在編:政治観の今昔 』

それから、選挙が効力を発揮するヒットポイントに、もう「政党政治」が含まれてない感じすらしてます。

例えば、自民党の山田太郎氏は、圧倒的な得票で当選しています。彼がやってることは「表現規制反対」というプロジェクトなんですよね。でも政党、自民党から立候補してます。これはプロジェクト実行を最優先するためですよね。

この「プロジェクト駆動型」に、選挙という方法がちゃんとハマった感じします。クラウド・ファウンディング的な意味合いを持つ投票です。

山田太郎氏の勝利から、政治のひとつのフォーマットが見えるような気がします。与党政権はこれらの「プロジェクト」の受け皿になることが最大の機能で、党としての主義をまったく持たないプラットフォームになる、という。

そう考えると、与党を支持する意味も変わってきます。なので、若者の自民党支持傾向は、本当に単なる保守化なのだろうか? と思ったりもするのです。
30代以下支持、増す自民 60代以上と逆転 出口分析

投票率は低かったけど、選挙結果はとても絶妙なバランスだと私は感じました。まず、れいわ新選組が2議席獲得しました。これは本当にすごいことだと思います。

今までの政治家たちの視線には入らない人たちに目を向けた「革命指向」の政党ですよね。山本太郎氏のカリスマ性にかなり支えられてますが、「特定枠」の作戦も素晴らしいと思いました。

それにしてもここまでハンサムな政治家が今までいたでしょうか? 多分、チェ・ゲバラの次にTシャツのステンシル・プリントが似合う人だと思うのです。

ただ、彼を思いっきり嫌う人やメディアがありそうで、そういう軋轢で失速しそうな危なさもあり、ちゃんと仕事内容でジャッジされて欲しいなあと思ってます。その他野党では立憲民主党は倍増、社民党は議席をなんとか確保しましたよね。

それから与党は過半数を獲得しましたが、憲法改正の発議に必要な2/3には行きませんでした。

「野党もいろいろ取り揃えて、でもとりあえず自・公でいいかな、でも改憲はちょっとね……」という民意ですよねこれ。悪く言えば「すべてが中途半端な感じ」がするのですが、良く言えば「健康体が保てそうな腸内フローラの多様性が維持されてる感じ」でしょうかね。

私は割と希望が持てると思いましたよ。


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