AirPayカードリーダのディスプレイにメッセージが表示され続けて消えない問題


AirPayのカードリーダーを点けっ放しにして寝てしまったのですが、今朝7時半頃見たらカードリーダーにこんなメッセージが表示されていました。

PLEASE WAIT
Checking Security
This may take a few
moments

「カードリーダーについてのよくある質問」の
カードリーダーのセルフチェックについて」を参照したら、
「約3分でチェックは完了します」と書いてあります。

その後、放置して11時半ごろに見てみるとまだ同じ状況でした。
これはまずいかも? と思ってヘルプデスクにチャットで相談しました。

そしたら、すぐに解決できました!

<問題>

カードリーダーに「PLEASE WAIT Checking Security This may take a few moments」のメッセージが表示され続ける。
どのボタンを押しても動かない。

<解決方法>

1.充電コードを抜く
2.電源ボタン横のリセットボタンを押す(凹んでるので細い棒で)
3.「2」を押す
4.✅を押す

Airペイアプリのホーム画面から、【設定】 > 【カードリーダー状況確認】で確認する

確認できたらOK!


なお、充電は30%以上になってから決済をしてくださいとのこと。

ヘルプデスクさん有り難うございました!

【羽化の作法 117】意識の謎の解明に本当に必要なことは何か?



●純粋記憶について


「思い出す」にもざっくり二種類あって、
ひとつはその時のことを俯瞰して客観視してる感じなのと、
もうひとつはその時の心情に入り込んで主観的になる場合と。

前者はアルバムをめくるような感じで、
後者はタイムスリップして過去の自分になってしまった感じ、と言ったらいいのでしょうかね。
そこでちょっと思うのは、ひょっとしたら本当に過去に一瞬行ってるのかもって。

「いやいや、そんなことはないでしょ」ってあなたは思うでしょう。
ところがですね、ベルクソンが面白いことを言っているのです。
「脳はなくても記憶は残る」と。

茂木健一郎さんのこの動画はデジクリで何回か紹介していますが、やっぱり興味深いのでまたまたリンクを貼らせていただきます。

ベルグソンの純粋記憶について



この動画で茂木さんは、小林秀雄がベルグソンについて言及していることを紹介、ベルグソンは脳をハンガー、記憶を外套に喩え、ハンガーはなくても外套は残る、つまり脳はなくても記憶は残ると言っています。

そして、「レプリカントの私」という、別の喩えを持ち出しています。

仮に私の完璧なレプリカントが、たった今作られたとします。そうすると「レプリカントの私」にも5歳の記憶があるわけですよね。今、50歳だとしたら45年前の出来事なのですが、45年前に存在していない「レプリカントの私」にも、45年前の記憶があるわけです。

過去から生きてきた私、つまり「自然状態の私」も当然5歳の記憶があります。この「レプリカントの私」と「自然状態の私」の違いはあるのか? という思考実験です。

体験(クオリア)が今ここの脳状態に規定されるドグマを採用すると、両者は区別できないことになります。

ところが、直感的には「レプリカントの私」と「自然状態の私」は違う気がしますよね。それが「ベルグソンの純粋記憶」と関係しているのではないか、と。

以上が動画の内容なのですが、このことって、「過去を思い出している時、昔の自分の主観状態になっている瞬間は、本当に過去にタイムスリップしている」としても、そんなに無理がないことになりませんかね?

私たちが過去を思い出す時、ハードディスク(頭脳)に書き込まれたデータをピックアップするのとは別に、何か他のことをしている可能性はゼロではないと思うんです。


●チューリングテストに合格したら意識は発生してるのか?


ところで、デジクリの執筆者であった「セーラー服おじさん」ことケバヤシさんの、意識をテーマにしたYouTubeライブ講義が11月14日にありました。

超学校ONLINE シンギュラリティサロン@SpringX:意識の謎に迫る(シンギュラリティサロン #44)



さすがケバヤシさんだなあって思ったのは動画冒頭の絵、本でいえば装幀画か扉絵にあたる絵をまんま見せて、タイトル文字を被せていないんですよね。




動画の中で、私的に気になったことをあげておきます。

登壇者の塚本昌彦氏、松田卓也氏は、もしAIが意識があるとしか思えない振る舞いができたとしたら、そこには自動的になんらか意識が発生しているだろう、と、ざっくりと言えばそのような見解のようでした。(松田氏は「それは分からん」とおっしゃってましたが、ニュアンス的にはそこ(AI)には人間と共感し合うことのない意識が宿る、という感じでしょうか)

ケバヤシさんは懐疑的で、「いやいやそれだけでは哲学的ゾンビに違いない」という意見です。

「意識があるような振る舞い」とは、動きや返答する言語が、人間の意識と同じアルゴリズムを成しているということで、それなら意識も宿っているだろうということのようなのです。

神経系は電気制御ですよね。身体の動きと思考は電気信号と化学反応で動いてます。なので私からハラワタを削ぎ落として脳と身体だけにすると、「モロに機械」です。内臓部分に電池を埋め込んで、うまく繋いだら動くんじゃないでしょうかね。だから、機械に意識が宿ってもおかしくない理屈にはなります。

これは先程の茂木健一郎さんの動画の「レプリカントの私」と、「自然状態の私」がイコールで結ばれることを意味します。

もしそうすると、意識の仮想世界仮説に基づいてAIに心を実装させるプログラムを作ろうとしている「ロボマインドプロジェクト」が、会話ロボットをしっかり構築させたなら、すでにそこに意識が発生していることになります。

ロボマインド・プロジェクト
https://www.youtube.com/channel/UCF7k8BrfIwPSennLMByxyuQ


私は、振る舞いを人間に似せることに成功しても、チューリングテストに合格するプログラムを実装できても、そこにクオリアって発生してないだろうなあって思ってます。

いくつか理由があります。例えば、もし超弦理論が正しいとするなら、この宇宙は11次元になるらしいんですが、だとすると高次元に意識は関わってないのだろうか? という極めて素朴な疑問です。

あと、宇宙がダークマターとダークエネルギーで95%を占めているなら、意識の発生源にそういう物質の影響ってないのだろうか? とか。それから量子力学が意識と関係してないのか? とか。

これらは理論物理学をちゃんと理解してないから産まれる疑問なのかも知れませんが、気になるところです。

そしてもう一つあるのが、「音」です。耳の穴に指を突っ込むと「ゴォーッ!」という轟音がしますが、これは筋肉の動く音なんだそうです。

指先ですらこんな轟音です。身体の真ん中の方とか、心音などが合わさると私の身体は、さながら湿った生温かいライブハウスで聴く「爆音ノイズ」です。ところが、これらは自分には全く聴こえませんよね。身体のノイズ音をキャンセルしてる装置ってどこにあるのでしょうか。

私はこの「音」って、意識と関係があるような気がしているんです。これ以上は分からないので、言語化できないのがもどかしいのですが、何か音(振動)にも意識に関わる重要な要素がある気がしているのです。

それから、植物には神経系がないので当然意識なんてないってことになります。しかし、私は植物に意識ってあると思いたいので、脳(神経系)以外に意識の発生源を求めたいのです。


●意識の謎を解明するために本当に必要なこと


そして、あともう一つ気になる点があります。今回の講義に登壇した方々は全員男性でした。

そして日本を代表する意識研究者も、なぜか全員男性ですよね。人工意識に対して真摯に批判的な茂木さんも男性。意識の謎に興味津々の私も男性です。これって、何かすごく重要なことを見落さないですかね?
つい最近こんなニュースがありました。

9000年前に女性ハンター、「男は狩り、女は採集」覆す発見
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/20/110600646/


この記事には「大型動物ハンターの30~50%が女性だった可能性が明らかになった」とあります。「狩りは男」というジェンダーバイアスが当たり前すぎて、疑問にも思わなかったのでしょう。なのでこの事実の発見に遅れてしまったのです。

このようなことが、意識の謎を解き明かそうとする科学にも、大きく影響してないでしょうかね? ちょっと(いや、かなり)心配です。

SFの生みの親、メアリー・シェリーは女性です。コンピュータプログラムの生みの親、エイダ・ラブレスも女性です。

メアリー・シェリー
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A1%E3%82%A2%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%82%B7%E3%82%A7%E3%83%AA%E3%83%BC


エイダ・ラブレス
https://blog.tinkers.jp/12017071041/


なので、意識の謎を解明する天才も女性だったら面白いのになあって思うのです。

もちろん研究は一人で成立するものではありません。しかし、ジェンダーギャップが激しい社会だと伸びないことは確かです。

ここで、我が国のジェンダーギャップがどの程度なのか気になったので、世界のジェンダーギャップ指数(2020年)を調べてみました。

そしたら、な、なんと153カ国中121位! しかも、前回より順位を落としている!

世界経済フォーラムが「ジェンダー・ギャップ指数2020」を公表
内閣府男女共同参画局総務課
https://www.gender.go.jp/public/kyodosankaku/2019/202003/202003_07.html


いやこれは、、、気を取り直して、結論。

意識の謎を解明するためには、女性の意識研究者を増やすこと! そういう社会に日本が変わること! まさかの結論に辿り着きました。(つづく)


【武 盾一郎(たけ じゅんいちろう)/断酒313日目】

YouTube絵本〈13月世の物語・第6話〉13月世の不思議の国のアリス“怪盗アリス・エイリアンとロザモンド大聖堂〉物語絵制作秘話



・ガブリエルガブリエラ
Twitter https://twitter.com/G_G_jp
Instagram https://www.instagram.com/G_G_jp/


日刊デジタルクリエイターズ『羽化の作法[117]意識の謎の解明に本当に必要なことは何か?』より

記憶の体験

「思い出す」にもざっくり二種類あって、

一つは、その時のことを俯瞰して客観視してる感じなのと
もう一つは、その時の心情に入り込んで主観的になる場合と。

前者はアルバムをめくるような感じで
後者はタイムスリップした感じなんだけど、ひょっとしたら本当に過去に一瞬行ってしまってるのかも。

茂木健一郎さんの『クオリアと人工意識』のベルクソンに言及してるところを読んでふと
「認知症って「純粋記憶」の中に入ってしまうことかも知れない、外側の人間から見たらそれは病状だけど」ってよぎった。
またはクオリアに飲み込まれてしまった、みたいな。





【羽化の作法 116】現在編 《ギャラリー13月世大使館》おかげさまで一周年!


おかげさまで《ギャラリー13月世大使館》オープンから一年経ちます。
一周年を記念して10月31日(土)13〜18時、一般開廊日としてオープンいたします!

ありがたいことに、新作物語絵『怪盗 アリス・エイリアンとロザモンド大聖堂』は、10月24日の御予約開廊日で旅立ちが決まりました。一年がかりで完成させた大作なので、それなりの値段にしておりましたが、まさかすぐに売れるとは思っていなかったので、驚いてあたふたしてしまいました。本当に嬉しいです。感謝あるのみでございます。

YouTube絵本〈13月世の物語・第5話〉 13月世の“不思議の国のアリス” 新作物語絵『怪盗アリス・エイリアンとロザモンド大聖堂』


原画は12月の御予約開廊日まで、ギャラリー13月世大使館に展示させてもらっております。

ご予約なしでご高覧いただける日は、10月31日(土)13〜18時の一般開廊日のみとなっておりますので、この機会にぜひ御来廊くださいませ。



部屋の壁を白く塗ることから始めて、8年がかりで自宅を改装して、オープンまでやっとこさ漕ぎ着け、一年続けることができました。嬉しい限りです。

2019年11月にオープンしたのも束の間、コロナがやってきていったん休廊するという、のっけから波乱万丈の13月世大使館でしたが、心折れることなく試行錯誤しながらやってまいりました。

これもひとえに、御来廊くださる方々のおかげでございます。本当にありがとうございます!

13月世の精霊たちにも応援してもらってるようにも感じました。


《ギャラリー13月世大使館》とは、「この世(12月世)」と織り成すもうひとつの世界「13月世」の大使館で、「ガブリエルガブリエラ」の武 盾一郎とポオ エ ヤヨのふたりの絵師が、大使として任務にあたっております。

「13月世」は「この世界(12月世)」の時空四次元とは違っていて、言ってみれば「魂」や「霊」のような世界なので、それを「物語絵」や「呪薬(ジュエリー)」にして、この世界で可視化、実装しているプロジェクトが私たち「ガブリエルガブリエラ」なのです。

13月世に棲む「光と影の女王チェーニ様の五番弟子・エリザベス鳥のプップちゃん」が、主に仕事の依頼を持ってきます。
プップ


ガブリエルガブリエラのツイッター管理人は、光と影の女王チェーニの一番弟子・毛虫のピッピちゃんと5番弟子・エリザベス鳥プップちゃんが担当しております。
ピッピ


物語絵を描くために、私たちふたりは「13月世」に取材に行きます。

13月世の入口には「金色野原」が広がっているのですが、13月世への入口はこの世の様々な時空に出現します。入口の兆しには綿毛や黄金虫が顕れます。
物語絵『瞳を抜けると金色野原』


私たちは綿毛や黄金虫が顕れてくるのを悠長に待っているわけにいかないので、13月世への鍵を使って旅をします。その鍵と鍵穴は《ギャラリー13月世大使館》にございますので、御来廊の折に探してみてください。

そうやって私たちは、13月世の物語絵を制作します。

今回の依頼は13月世に現れたアリスの物語絵だった、というわけです。


さて、ガブリエルガブリエラは絵だけでなく、「呪薬(ジュエリー)」も制作しています。

13月世の少女精霊「月蜉蝣のガブリエラ」は、好きなものを見付けると「トゥクル・ティクル・ポロン」とおまじないを唱えます。すると、それがジュエリー・パーツとなるので、「12月世」のポオエヤヨさんのところまで持ってくるのです。
月蜉蝣のガブリエラ


▶︎ Tükör Tikör Polon/トゥクル・ティクル・ポロン


猫がトカゲとかをくわえて持ってくる感じですかね。ヤヨさんはそれらを組み立てて「呪薬(ジュエリー)」に仕上げます。「呪薬(ジュエリー)」にも一点一点物語があります。



例えば、上記URLの「ロザモンドの薔薇チョーカーネックレス」は、13月世に出現する「盗賊 アリス・エイリアン」の盗品の隠し場所である「ロザモンド大聖堂」の引き出しにあったものを「月蜉蝣のガブリエラ」が持ってきたものですが、「ロザモンド面影石」や「宇宙暗黒石」などからできています。

盗賊のお宝の隠し場所から品物を持ってくるなんて、ガブリエラちゃんはなかなかツワモノであります。

ロザモンドの物語はこちらにありますのでご参照ください。

▶︎ 呪薬『ロザモンドの薔薇』の物語


こうやって、私たちガブリエルガブリエラのふたりは「13月世の物語」を紡いでいます。

ウォルト・ディズニーが生前「ミッキーはキャラクターではなく、唯一無二の存在であり、実在するのだ」的なことを言っていた、という話を聞いたことがあるのですが、「ミッキーはエソラゴトではない」という、ウォルトのこだわりの強さとして捉えていました。


私たちにとっても「13月世」や、ちびっこ精霊「毛虫のピッピ」たちは、コントロール下にはない感じがあります。
精霊たちは自由にあっち行ったりこっち行ったりしていて、それらを見つけ出して制作している感じなのです。

もしそれに意図があるとするならば、こういうことになります。
何か作品を作る場合は、料理のように作ると思うんですね。食材を切ったり擦りおろしたり混ぜて煮たり焼いたりするように。つまり、私自身が食材になることはなく、作者は道具を使って食材から料理を完成させていきます。

ところが、私たちガブリエルガブリエラはそうではありません。自分たちも食材の一部となり、料理の中に入っていってしまうのです。
または、逆に食材たちに人格が宿り、私たちの世界に入り込み、共に遊んでしまう世界なのです。

これらは子どもたちの「ごっこ遊び」と言っていいでしょう。
「ままごと」や「鬼ごっこ」なんかそうですよね、また「はないちもんめ」や「かごめかごめ」も、世界観を設定してその中でお遊戯をする遊びです。
これらの「子どもたちの遊び」は、たぶんに霊的ですよね。

「13月世」の霊性も、(「大人たちが考えた霊」というよりも)この「子どもたちの遊び」から湧き出してくる「霊的世界」で、ガブリエルガブリエラは大人の世界にそれらを復活させているのです。

「子どもに還る」とか「童心を蘇らせる」とか、「再生」が私たちのテーマです。
失敗や病気や心の傷から回復する「再生」も、私たちの重要なメインテーマです。
そして、子どもたちの遊びによる霊性を、表現の原型として活動しています。

これからもご愛顧のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。


【武 盾一郎(たけ じゅんいちろう)/断酒292日目】

・ガブリエルガブリエラ
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日刊デジタルクリエイターズ「羽化の作法[116]現在編 《ギャラリー13月世大使館》おかげさまで一周年!」より

呪薬『ロザモンドの薔薇』の物語

呪薬『ロザモンドの薔薇 チョーカーネックレス』ですが、
この作品には詩が添えられています。


永遠の薔薇の君“ロザモンド”

光の中で その香しさは蘇り

愛する時と再逢する

ロザモンドの薔薇 チョーカーネックレス


“ロザモンド”とは、ギャラリー《13月世大使館》オープン記念で開催される『アリス・エイリアンと金色の午後』展の物語の舞台となる「ロザモンド聖堂」のことを示しています。

「ロザモンド聖堂」とは宇宙の記憶が創る雲の上の蜃気楼で、その舞台を背景に光の如く姿を現す異邦の少女《アリス・エイリアン》の物語が繰り広げられます。

「宇宙の記憶が創る雲の上の蜃気楼」って、ちょっと訳わからないですよね。蜃気楼とは知っての通り、空気の温度差によって光が曲がり、建物が上に伸びたり宙に浮いたりして見える現象です。

空気という見えないものが作り出す蜃気楼のように、「宇宙の記憶」という見えないものが作り出す蜃気楼があってもいいのではないだろうか。その一つが「ロザモンド聖堂」である、ということなんです。

「エーテル」や「アカシックレコード」という言葉があります。もちろん科学的ではありませんが、とても魅力的で神秘的な概念です。そんな感じで「ロザモンド聖堂」がある、と想像していただければと思います。
エーテル
アカシックレコード


《アリス・エイリアン》とは、もちろんルイス・キャロルの『不思議な国のアリス』をモチーフとしています。ご存知のように少女アリスが不思議な国に迷い込むお話です。

私も好きな物語なのですが、なんとなくふと思ったのです。物語の中のアリスはとても受動的なんですよね。アリスは別に冒険がしたくて不思議な国を体験してるわけではないのです。「アリスが受動的に異邦にワープして恐怖体験をする」という、結構恐いお話なのです。これはひょっとしたら男性(作者)が持つ「(少)女は受動的であれ」という、無意識的願望なのではないだろうか。

そこでガブリエルガブリエラでは、このアリスの設定を逆さまにして「能動的に行動する異邦の少女(エイリアン)」にして物語を展開させました。異邦に連れて行かれるのではなく、アリス自身が異邦人なのです。

ざっくり言えば「行動する陽気なマイノリティ」です。

この《アリス・エイリアン》は、13月世にもやって来るので目撃情報がちらほらあって、13月世では噂になっています。



と、ここまで《アリス・エイリアン》に関するお話でした。

これからが、新作呪薬のタイトルと詩に登場する“ロザモンド”という言葉の謎に、ちょっとずつ迫っていこうと思います。


●アリスは行動する陽気なマイノリティで、かつ盗賊である

実はこのアリス、盗賊なんです。アリスは古今東西に渡って宝物を盗み、蜃気楼でできた「ロザモンド聖堂」に陳列・保管しているのです。

今なお見つからない名画、進化のミッシングリンクの化石、ニコラ・テスラの永久機関の設計図、呪われた宝石ホープダイヤモンドのもう片方、オーパーツ、幸せの青い鳥、UMA(未確認動物)などがコレクションされています。

「ロザモンド聖堂」の中は迷宮になっています。一度入ったら、二度と出て来られないといわれています。

なんでそんな作りになっているのか?
そしてロザモンドとは一体なんなのか?


●1862年7月4日「黄金の午後」の謎

話は「不思議の国のアリス」が生まれた場面に飛びます。

1862年7月4日。ルイス・キャロルことチャールズ・ラトウィッジ・ドジソンは、かねてから親しく付き合っていたリデル家の三姉妹、「ロリーナ(13歳)」「アリス(10歳)」「イーディス(8歳)」、そして大学の同僚ロビンスン・ダックワースとともに、アイシス川(テムズ川)をオックスフォード近郊フォーリー橋から約7〜8kmほど上流の、ゴッドストゥ村までボートで遡るピクニックに出かけます。下るんじゃなくて遡るんです。

その間、ドジソンは三姉妹でお気に入りだったアリスのために、「アリス」という名の少女の物語を即興で語って聞かせたのでした。これが名作「不思議の国のアリス」の誕生の瞬間です。

この夏の日の午後をドジソンは、“The Golden Afternoon”と書きます。よっぽど美しい時間だったのでしょうね。

その終着点であるゴッドストゥ村ですが、そこには今は廃墟となった「ゴッドストゥ尼僧院」があります。

ここでちょっと不思議な事実があります。なんと、1862年7月4日のオックスフォードの天気は悪く、雨模様だったことが分かってるそうなんです。

悪天候の中、ボートで川を7キロも上流に向かって漕ぐようなことをするでしょうか? しかも子供を乗せて。

いや、むしろ子供だから、そんなのはへっちゃらだったかも知れません。厳しく躾けられているが故に、やんちゃしたい好奇心旺盛な良家のお嬢様三姉妹にせがまれて、ボートを出したという事は充分に有り得る。でも、どうして晴天をイメージさせる「黄金」なのか? ドジソンの心の中はまさに黄金だった、その気持ちが名作を生んだ、のだろうか。。。
参照:http://www.alice-it.com/wonderouserland/chapter1.html

ここで不思議な点をまとめます。

・雨模様なのに「黄金」の午後
・川を遡った終着点ゴッドストゥ村にある廃墟となった尼僧院
・『不思議の国のアリス』に出てくるあの印象的な迷路
・「ロザモンド」とは?

これらを繋げる物語をこれから紡いで行くことにしましょう。


●ゴッドストゥ尼僧院

オックスフォードから川を遡って、ゴッドストゥ村に着いたドジソンとリデル三姉妹たち。遡ったのは「時間」だったのです。

ゴッドストゥ尼僧院に着くと建物は立派に建っていて、祭壇の真正面にはひとつの大きなお墓がありました。墓跡に刻まれた名前は「ロザモンド・クリフォード」。やっと出てきました「ロザモンド」。女性の名前だったのです。


時は12世紀。

ロザモンド・クリフォード、通称「麗しのロザモンド」は絶世の美女。あまりにも美しいので、時の権力者ヘンリー2世(プランタジネット朝初代イングランド国王)の目に止まります。

ところが、というか当たり前というか、ヘンリー2世には妻がいます。妻はアリエノール・ダキテーヌ(英:エリナー・オブ・アクイテイン)。フランスの王妃だった彼女は、ヘンリー2世より11歳上でした。

そこに登場するのが、音に聞く絶世の美女「麗しのロザモンド」、その時なんと10代。

「どこのエロ小説の設定だ!」とツッコミを入れてしまいそうになりますが、ここまではどうやら事実のようです。でも、すごいシチュエーションですよね、これ。

ヘンリー2世はロザモンドにぞっこん惚れ込み、妾にします。といっても、何人も愛人はいたのだと思います。この時代の慣わし、みたいな。

しかし、というか当然というか、妻のアリエノールの嫉妬の目は厳しかったようです。これでは思うように密通できません。でもそこはなんといっても王。王家の猟銃地であるウッドストック(ゴッドストゥより少し北)に離宮を建てて、ロザモンドを幽閉するのです。しかも、ロザモンドが見つからないように迷宮にして。……すごいです。

獣を撃ち殺し、迷路を辿り、閉じ込められている「麗しのロザモンド」に会って密通する。何かのゲームソフトみたいですね。

ここに「迷路」が登場してくるのです。そして迷路の辿り方がまた面白いのです。入口からロザモンドの部屋までの迷路に、糸を這わせておいてそれを辿る、というものなのです。なんだか神話みたいですね。これは作り話かも知れませんが、なんともロマンチックな感じです。

ところが、とうとう妻に逢瀬の離宮の迷路の糸が見つかってしまいます。糸を辿ってアリエノールはロザモンドの部屋を見つけ出し、ロザモンドに詰め寄ります。

「この剣で死ぬのと、この毒薬で死ぬのと、どっちを選ぶ?」と。
(いやそれどっちも死ぬじゃん!)

ロザモンドは毒薬を飲んで命を絶ったそうです。というのはどうやら作り話のようですが、いずれにせよロザモンドは亡くなります。そのことに妻アリエノールが関わっていた疑いはあるようです。
享年26歳。若すぎます。

ロザモンドはゴッドストゥ尼僧院に埋葬されました。祭壇の真正面に。特別な扱いだったのでしょう。地元の人びとは、愛する人をひたすら待ち続けた彼女に敬意を表して、花やろうそくを供えたそうです。ヘンリー2世も彼女の命日には盛大に薔薇を手向けたそうです。

「ロザモンド」とは「世界の薔薇」という意味です。出来すぎた話ですよね。現代の感覚だとちょっと分からないところがありますが、でも、二人は本当に愛し合っていたのでしょう。きっと。。。


ところがここで話は終わりません。

「教会に愛人を埋葬するとは何事だ!」とリンカン司教が怒るのです。
(え? ここで突然知らないキャラ乱入?)

ヘンリー2世の死後、「売春婦の墓は外へ」と宣言、ロザモンドのお墓は掘り起こされ遺棄されます。

なんで突然「リンカン司教」とかいうのが出てきて、お墓を撤去なんてできるの? と疑問に思ったのですが、当時は絶大な力を持っていたようです。ゴッドストゥ尼僧院も、リンカン司教区に属していたのでしょうね、命令は絶対だったのだと思います。

参照:“リンカン司教は、中世にはイングランドの中でも屈指の力を持っていた。イングランド内の修道院の半数以上がリンカン司教区に属しており、多額の寄付も得ていた”
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%AB%E3%83%B3_(%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%89)

そして、この墓の掘り起こしなのですが、なんとヘンリー2世の妻アリエノールの指示だったことが分かっているようなのです。死んでもなお愛され続けている「麗しのロザモンド」、許せなかったのでしょう。。。

その後、ロザモンドの遺体もお墓も行方不明のままになっています。言い伝えだけがあります。「秘密の通路、“迷路”を抜けた先にある塔の足下に”世界の薔薇(ロザモンド)”は眠っている」

参照:
麗しのロザムンド
イングランド王ヘンリー2世愛妾 ロザモンド
イングランド王ヘンリー2世妃 エリナー
世界史上最も放置された愛妾 ロザモンド・クリフォード



●『アリス・エイリアンと金色の午後』展

この「ロザモンド」の想念が、宇宙の記憶の蜃気楼となって立ち現れたのが、「ロザモンド聖堂」です。

《アリス・エイリアン》は、きっとロザモンドのお墓と亡骸を盗んでいます。そして「ロザモンド聖堂」の中、「迷路を抜けた先にある塔の足元」に、美しい姿のまま大切にしまっていることでしょう。

ところで、川を遡ってゴッドストゥ村に来たドジソンとアリス3姉妹のご一行ですが、尼僧院の前に立っています。ドジソンは祭壇正面のロザモンド・クリフォードのお墓にまつわる、そんな物語を見たのです。

なぜドジソンはタイムワープをしてしまったのか。実はその時、《13月世》の《金色野原》に入ったからなのでした。

“13月世の入り口に広がる金色野原は
12月世・霧の國・様々な時間に繋がっており
その入り口は世界中に点在します
入り口の兆しとして金色野原の綿毛・黄金虫が顕れると謂われています”
▶︎ https://gabrielgabriela-jp.blogspot.com/2016/04/blog-post.html


13月世の入口には金色野原が広がっています。それは時を超え、場所を超え、どこにでも現れます。なので金色野原は、通り抜けるとタイムトンネル効果になることがあるのです。

ドジソンたちが川を遡っている時、偶然なのか必然なのか、13月世の入口の金色野原を通り抜け、遥か昔のゴッドストゥ尼僧院に行き、ロザモンド・クリフォードの思念に触れたのでした。

ふとドジソンが気が付くと、ゴッドストゥ尼僧院には祭壇もお墓もなく、知っての通りの廃墟でした。でもそこで印象に残った「ロザモンドの離宮の迷路」を『不思議な国のアリス』に導入し、13月世の金色野原に入った光景を「黄金の午後」と序詞に書いたのでした。

以上が、新作呪薬『ロザモンドの薔薇 チョーカーネックレス』の背後にある物語でした。楽しんでいただけたら幸いです。最後にもう一度『ロザモンドの薔薇』の詩をどうぞ。


永遠の薔薇の君 “ロザモンド”

光の中で その香しさは蘇り

愛する時と再逢する






【羽化の作法 96】現在編 ギャラリー13月世大使館オープンします! より抜粋