2016年、48歳の抱負

2016年、本年もよろしくお願いします!
(喪中なので「おめでとう」の言い回しが使えなくてすみません)

線譜 Punk symphony “Alice in UnderGround”から『アングラウサギ』

1995年に新宿西口地下道に暮らす人たちの家、「段ボールハウス」にペンキで絵を描くことからアーティスト活動を始めて20年。ようやく作品がぽつぽつと売れるようになりました。

最初は「絵を額装し、ギャラリーに展示して、値段を付けて渡せるように売る」という概念すら持っていなかった。

なぜなら自分にとって絵とは「描く行為そのもの」だったからだ。
それはその「場」にあるものだし、自分の「身体」から切り離せないし、描いてる時間の中にしか本当の意味での「僕の作品」は存在していない。

例えば、壁画といった移動できない絵を描き、その間の経費と生活費全て面倒見てもらい、完成したらさらにギャラを頂く。完成までの時間はこちらのペースに任せてもらうとかで、作品自体を売らないアーティスト活動を続けようとした。
この方法で喰っていけたなら今も同じやり方をしているのだろうが、それはできなかった。

アーティスト活動を10年以上経って初めて、「作品をきちんと手渡せるようにして売る」という最も当たり前の方法をやり始めた。転機となったのがアーティスト活動15年目の2010年にギャラリーで行った初個展。作品に値段を付けた。
それから5年、作品は自分から離れてなんぼのもの、という基本中の基本がようやく体感できてきた。

「ちゃんとアートで喰えている」状態まで持って行きたい。「それは可能だ」と、光が見えた2015年でした。


●2016年の抱負「好きを形にする」


年が明けて2016年。2日で48歳にもなりました。年男です。
「アートで食えてる」という目標はベースとしてありますが、今年の抱負は「好きを形にする」です。

自分が影響を受けたさまざまな表現に対して「ありがとう」と感謝して、その影響を作品に素直に反映させようと思うのです。
今までは、そういうことを積極的にしませんでした。引用やサンプリングに対して嫌悪感みたいなのがあったのです。
これからはそういうのも気にせずに行こうかと思います。

手始めに線譜 Punk symphony “Alice in UnderGround”『アングラウサギ』を制作しております。
この作品は「パンク」と「クラッシック」をイメージしてミックスした線譜です。かつてはパンクに痺れていた自分がいて、それを素直にカミングアウトしてみたのです。
(バッハを中心に)クラッシック音楽ももちろん好きなので、線譜 Punk symphony としました。


「好きを形にする」ためには「原初的な喜びの感情を大切にする」ことだと思います。
今年は誕生日に初詣に行きました。車で2時間位の金鑚神社です。
金鑚神社
前の日の夜は遠足に行くみたいな気持ちになってウキウキしました。こんな気持ちになるなんて久しぶりのような気がしました。そして、「ああ、こういう気持ちになることって本当に大切なんだなあ」って思い出したのです。

そして昨夜も、久しぶりにコントーションズを聴いて興奮しました。


こういうの聴いてもウルサイとしか思わなくなってしまっていた。“あの頃”がトラウマ的フラッシュバックのように蘇ってしまうのです。
ところが昨夜は、コントーションズのカセットテープをかけてテンション上がりまくっていた“あの頃”が色鮮やかな興奮となって蘇ってきたのです。
それは知らない音楽に触れた時の興奮、「原初的な喜びの感情」。
あの時の気持を取り戻したようでした。


「好きを形にする」でもうひとつ実行したいのが、「応援してるなら作品を買う(お金を払って観る)」です。この機会をちょっとづつ増やしていければなあと思っています。

あと、「好きを形にする」には、「渡して喜んでもらえることを考える」って大切ですよね。ここに頭を巡らせるのは結構大変なのですが出来るようにしていこうと思います。


あと、卑屈にならないことですね。
フェイスブックなんかを見て他者と比較して気持ちが曇ったりしてしまうことがある。嫉妬とか自己卑下の感情がモヤモヤと現れてしまう。この事自体はしょうがない、自然現象みたいなものだし、実際すごい人は凄いのですから。
調子の悪い時はこのネガティブな感情を増やして育ててしまうので、そうならないように。
感情は時間が経てば収まるし、「ちくちょう!」とか「けっ!」とか思ったら、そのエネルギーを100%制作に向けること。そうすれば、嫉妬心も素晴らしいエネルギーになる。そう思って前進しようと思います。


●線譜

僕は自分の作品を「線譜」と名付けておりまして、それは音楽を表わす絵です。
線画は線の振動で、チェロの弦のように震えて音楽を奏でます。

作り手としては「音楽を描く」行為で、観る側すると「絵を聴く」行為だと思うのです。
そんなこと本当に出来るかどうかは分からないのですが、2次元(タブロー)のもうひとつの解釈です。

「線譜」を観て、「こういう美があったのか!」と、美の在り方の新次元を直感で分かるようにしたい。
きちんと「美」に昇華させたい。

意味解釈はもちろん自分なりにあるのですが、観る人の「心」を連れ去って行きたい。
60歳までにこの”魔法”を完璧にマスターしたいと思っております。

48歳、これからもどんどん変化、成長していきますのでどうかよろしくお願い申し上げます!

武盾一郎拝

0 件のコメント: