DaiGo氏の炎上で思ったことメモ

ネズミに恋したネコのタムちゃんシリーズ
蒼き星の子守唄

DaiGo氏の動画はしばしば観ることがあり、それなりに楽しませてもらっていた。
なので、今回の発言はちょっとショックだった。

音声よりも文字起こししてあるテキストを読む方が「どぎつさ」が際立ち、さらにネットニュースでは切り取られたテキストになり、エグみが増す。

今回のDaiGo氏の発言は、謝罪での言葉(頑張ってない人・頑張れない人は除外している)も含めても支持できないが、あんまり「許さない」とかも言いたくないし叩きたくもない。

そんな自分用メモ。



「ホームレスはいない方が良い」について


DaiGo氏は「ホームレスはいなくてよい」。このようなことを言っていた。
これは「ホームレス支援」の多くの方たちも同様だろう。路上生活からの脱出を支援している方々の活動を見るたびに、本当に素晴らしいと思う。


また、「路上生活者が野宿のまま暮らしていける権利」を主張する尖んがった野宿者支援活動をしている方たちもいる。少数派だけど(自分の知る限りでは)。
私もかつては、「スクワット上等!」といった勢いで、「都市とは不法占拠して良いものである」と考えていた。「グラフィティ」も都市のそういった包容力によって育まれた側面があるだろう。



もし「路上生活者がいなくなる方が良い」と考えるのであれば、
・路上生活者を排除し、死んで良いとする社会システムと、
・路上生活者が家なりアパートなりに暮らせるようになって、仕事なり消費なりを楽しめるようになる社会システムと、
どっちが社会経済合理性に於いての最適解だろうか?

科学的に考える場合、正解は本当に前者だろうか?

人道的に、心情的に判断すれば後者だけど、クールに「合理的」に考えても後者なのではないだろうか?


また、
もし遠い都会ではなく、家の近所の公園や橋の下に人が暮らし始めたらどうするだろう?
それが私の「答え」になる。



優生思想について


優生思想は本当に良くない。優生思想というか「差別」と言い換えてもいいかもしれない。
それはきっと誰でも分かっていることだろう。
しかし、自分が優生思想を持ってしまっていることに案外気が付かない。

「私は(〇〇において)人より優れている。だからこうして生きていられている。」

このように思う人たちはごまんといるに違いない。

いやいやそれと優生思想は違うよ、って思うかもしれないが、
環境とか複雑な関係性の中で、たまたま今生きていけてるだけで、
優秀だから生きているわけではない。

そもそも「優れている」なんて概念は、生命の存在の前では無意味な尺度でしかない。
にも関わらず、私は人より優れていると思いたい誘惑を捨てきれない。無能では生きていけないと思っているし、少なくとも「差別発言をしてしまう人よりも自分は優れている」と思い込んでいる。
私の優生思想の種は小さく発芽しているのである。


きっと誰にだって「優生思想の種」は心に植え付けられている。

優生思想の種は
「苦しみ」という水によって萌芽する。
「自己存在の危うさ」が肥料になる。
「劣等感」が日光となる。
「他者との比較」で成長する。
「成功」で花を咲かせる。
「承認」で実がなり、
また種が増えるのだ。


「優生思想を許さない」とか「優生思想ダメ絶対」みたいなアプローチではあんまりうまく行かないと思う。


誰もが持っている「優生思想の種」をタネのまま静かに心の地中に埋めておくしかないだろう。

それには、
なるべく苦しまず、
自己肯定感を育て、
劣等感を許し、
他者と比較せず、
成功にこだわらない生き方
が必要なのではないだろうか。

難しいな。。。


ゆっくり時間をかけてやっていくしかないでしょうね。




DaiGo氏の炎上が気になってしまったのは、
自分が段ボールハウスに絵を描くところからアーティスト活動を始めたからである。
そこには当然、人間が暮らしているわけで、
その人たちの中で、その人たちに見守られて絵を描いてきたので、どうしても引っかかってしまうのである。

「ホームレス」とか「路上生活者」とか、そういう単語を使ってしまったけど、
あの笑顔のおじいちゃん、ガタイの良かったおっちゃん、優しかったおばちゃん、無口だった女性、、
思い出されるのはひとりひとりの顔・姿であって、
「ホームレス」でも「路上生活者」でもないのである。



その人たちを救うことはできなかったけれど、
生き続けて欲しいとは思うのである。



ちなみに、90年代新宿西口地下道の段ボール村には猫たちも住んでいた。
ホームレスの人たちは猫を愛していたし、
猫もホームレスの人たちを愛していた。

なので、私にとって猫はホームレスの象徴であって、生涯描き続けるテーマなのである。



DaiGo氏の炎上で、こんなことを思い巡らせる機会を得たわけで、
感謝した方がいいよね。

有り難うございました。

線譜『スクエア』
星野智幸コレクション装丁画
(ネコが描かれてるのはホームレスが登場する小説があるから)

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