上野千鶴子的なものについて考えてみた

私は昔、上野千鶴子氏のことがとても好きでした。

彼女の著書をいくつか読んでおり、例えば『女遊び』とか、面白がって読んでいた(あ、今はちょっと内容は思い出せないが、、、)。
最近騒がれていてちょっと気になった。
それは、すごく単純化したら以下の2点である。
  • 「平等に貧しくなろう」と啓蒙しつつ自分はタワーマンションに住む。
  • 「おひとりさま」を流行らせるも自分は結婚していた。

これで思い出したことがある。
小学生の頃とか、テスト前に
「やばいボク、勉強してないよ〜」
と言いながら勉強して友達を出し抜こうとした、あの、原初的なあざとさ。

ランニングの授業で
「だるいからゆっくり走るよ〜、ビリでいいよ〜」
と、言いながらガッツリ走って、少なくともその友達より速く走ろうとした、あの、幼稚な裏切り。


ここで私が気になったのは、
これは「競争原理」に放り込まれた時に起こす人間の「最適解」ではないだろうか、ということだった。
「競争原理」に置かれてなければ、私たちはウソをついて他人を出し抜く理由は無いのである。


競争原理に放り込まれた時の解のパターンをあげてみる。


子供
「自分は勉強してない」と相手を油断させて、勉強して良い点を取ろうとする。

正直なダメ人間
「自分は勉強してない」と言って本当に勉強してなくて案の定低い点を取る。

宣言型
「自分は勉強してる」と宣言して良い点を取る。

宣言型のダメ人間
「自分は勉強してる」と宣言したが良い点を取れない。

善人
自分は分かっているので分からない人に勉強を教え、みんなが良い点を取ったので相対的に自分の偏差値が下がる。

狡賢い人
「小学生に勉強は有害であること」を理論構築して啓蒙し、みんなを勉強させなくさせて自分だけ良い点を取り、平均点が下がり圧倒的な偏差値を獲得する。


「競争原理」の中で偏差値を上げるコンピュータシミュレーションをしてみたら、
この「狡賢い人」が最適解となるような気がする。

「老人は集団自決を」と主張する新進気鋭の若手学者さんがいた。
これは上野千鶴子氏の思想と対立するように見えるが、
「老人は集団自決」は「経済合理性」をシミュレートした最適解であろうし、
そして、ここは重要なポイントだが、
「平等に貧しく、おひとりさま」と「老人は集団自決」発言は、「そこに発言者は含まれない」。
そういったことから両者はとてもトポロジカルだ。


さて、ここでもう一つ問題がある。
書いてる内容と本人の実際の行動の不一致はどうなのよ? 問題である。

例えば、天才画家カラヴァッジョ。
本当に素晴らしい絵だし、好きだけど、殺人も犯したとんでもない人物でもあった。

アートの場合は作者が「クズ人間」であっても感動を与える作品を作ってしまうことがままあって、
それがさらに作品の価値を高めたりもする。


しかし、学者の場合はどうなんだろう?
学問ってかなりそういうところちゃんとしないといけないのではないだろうか?
(だから自分は学者にはなれないと思ったし、学者は尊敬されて然るべきだと思っている)

特に人文系って変な思想をオルグできちゃうところもあるから殊更だ。


理系の場合、上野千鶴子のようなことは起こりにくい気がする。
例えば、「重力の法則」を発見して発表したのに、自分だけ重力の法則を無視して浮いていた、
とか起こりにくい。
(とはいうものの、理系学問の方が悪用されると悲惨だったりもする。オウム真理教事件とかSTAP細胞事件とか)

「競争原理」に置かれた中での最適解
出し抜く快感は「競争原理」に置かれてなければ発動もしない。
「コスパ」とか「タイパ」とか、そういう言葉が流行っているのも、「競争原理」を無自覚無批判で受け入ちゃっている世界ならではの「イケてるハック」だからだろう。
資本主義を批判した上野千鶴子氏も「競争原理」の中で最適解を出しただけ、と思うとなんだか少し哀しくも感じる。




なんというか、、、
上野千鶴子氏が嫌いなわけじゃない、
けど、上野千鶴子ニュースが示す「上野千鶴子的アイコン」のような生き方はしたくない。


「狡賢い人」より「ダメ人間」の方がマシな気がするけど、
「競争原理」が働くからには、そこからは逃れられない。
不器用のあまり不幸になってしまっては、悲しすぎる。


ただね、これからの社会、「愛すべきダメ人間」の方がいいんじゃないの?
というか、そういう社会になっていくような気がしなくもない。
まずは自分が、ポンコツがポンコツのまま幸福に生きていけるモデルとなろう。


具体的にどうすれば良いのだろう?

まずは楽しむことだと思う。
今やってるそれ、
他人に褒められたり、結果を出したりしなくても、楽しいことですか?


難しいな・・・

自分のコーヒーをちょっと美味しくいれてあげて
ゆっくりと味わう。

とかかな。




お読みいただき有り難うございました。



私の黒い部分が漏れ出てしまっている記事のタグ「黒い盾」を追加しました。



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