十種神宝(とくさのかんだから)について調べていたら、
ウェブサイトや動画によって
・死反玉(まかるかへしのたま)
・足玉(たるたま)
のデザインがごっちゃになっているので、一体どっちなのだろう? と思って調べてみた。
まず、公的な機関で十種神宝の画像をアップしているのはないか?と調べてみた。
すると「遠野市立博物館」のXアカウントにこんな投稿があった。
十種神宝図
— 遠野市立博物館 (@tonomuseum) June 27, 2023
饒速日命(にぎはやひのみこと)が天降りの際に、天津神から授けられた10種類の宝物図。
この十種神宝を合わせて、
一、二、三、四、五、六、七、八、九、十といって布瑠部由良由良と布瑠部と揺り動かす。こうすれば死せる人も生き返る(『令集解』巻二)という。
呪術展資料7/21〜9/24 pic.twitter.com/XYeAU5BGpP
・「足玉」と「道反玉」が対になっている。
・「死反玉」は無く、「御反玉」と記述されている。
驚いたことに「死反玉」自体が無い!!
う〜む。。。
次に、神社のホームページで「十種神宝」について言及しているサイトがないか探してみたら、あった。
田脇日吉神社
「足玉」っぽい。
読めない。。。
下の方にも画像があるので良く見てみる。
なんと、「道反」の対になっている図の横に、
「足」と「死反」の文字の両方があるではないか!!!
どっちやねん!!
さらに謎が深まってしまった。。。
神社ホームページではないのですが、神職さんのXアカウントで十種神宝についての投稿を見つけました。
神仏習合の十種神宝と三種神器 pic.twitter.com/MtcTKhZmPo
— 古川陽明 (@furunomitama) February 17, 2019
この画像だと、「道反玉」の対になっているのは「足玉」で、
「足玉」には「上字」、「道反玉」には「下字」と書いてある。上下のペア。
なるほど。どうやら「足玉」と「道反玉」は上下の対のペアというのが濃厚になってきた。
そして
「死反玉」は「死玉」と書いてあり、「反」という字がない。
で、「生」と「死」の対になっている。
なるほど〜。
てことは、冒頭の画像は誤りの可能性が高そうだ。
だがしかし!
そこで疑問が湧いてくる。
個人ブログなどを見てみると、どうも冒頭画像の解釈の方が多い。また、ネットショップの幸運グッズで十種神宝関連も売られているが、そのほとんどが冒頭画像のパターンなのである。
なぜなんだろう? と思って調べてみると、とある大大大人気アニメが浮かび上がってきた。
みんな大好き『呪術廻戦』である。
呪術廻戦で出てくる「ふるべゆらゆら」という呪文は、「十種神宝祓詞(とくさのかむだからはらへことば)」の一部で、
言葉だけでなく、十種神宝のデザインも引用されているのです。
ところが、
どうやら呪術廻戦では冒頭の図の
「死反玉(まかるかへしのたま)」と
「足玉(たるたま)」が
逆になっている方を採用しているのです。
つまり、「道反玉」と「死反玉」を対にして捉えているのです。
呪術廻戦の圧倒的知名度から、こちらの方が広がってしまったのかも知れません。
こんなブログも見つけました。
とても丁寧に詳しく親切に解説されていますが、「死反玉(まかるかへしのたま)」と「足玉(たるたま)」が逆のパターンで描かれています。
【呪術廻戦】十種影法術と十種神宝の関係、完全に教えます。
次にオークションに掛軸とかで出てないか? と思って調べてみた。
【版画】『十種神宝』掛軸 紙本 木版画 神道 神道美術 日本画 日本美術 信仰 古画 古軸
「生玉」「死反玉」、
「足玉」「道反玉」、
が対である。
他のも見つけました。
t1185 十種神宝 神社 掛軸 神道 仏教美術 神像 仏画 御神体 御正体
「死反玉」のデザインが単純化されてない!!
波がザッブ〜ンとなっていて、そこに玉がある。
そして、細かいところだけど、「死返玉」と書いてあって「反」→「返」となっている。
画像右下、「生玉」の方は「生存玉」と書いある。
そして玉からは炎が立ち昇っている。
ティアドロップ型のデザインは玉から炎が昇っている状態を形にしていたのか?!
「死反玉」のあの波はじゃあなんだろう??
と思って調べてみたら、こんな画像を見つけた。
十種神宝、石上坐布留御魂神社、物部
「生玉」の横に「火珠」と書いてあり、
「死玉」の横に「水珠」と書いてある。
生⇄死、火⇄水で対になっている。
命の炎が燃えている様をデザイン化したのがティアドロップ型の「生玉」で、
水(死)の中から玉が飛び出して行く様をデザイン化したのが「死反玉」ってことが言えそうかも。
雑で申し訳ないが、図にするとこんな感じでしょうか。
冒頭の図で言えば、「生玉」の毛のようなものは火で、足玉と書いてある「死反玉」の毛のようなものは水を簡略化したデザインなのかも。
最後に十種神宝の「手印」なるものを見つけたので紹介します!
手印を結び奏上する祝詞"十種神寶祓詞" 手印(契手)の結び方 解説
こちらの動画も、冒頭の図のように、「生玉」「足玉」が対で、
「道反玉」「死反玉」が対で図が表記されてますが、
朱印の形から想像するに、この動画の「足玉」図と「死反玉」図は逆のように見えます。
十種神宝の名称・内容と手印は合っているのですが、テロップで表記されているデザインが違ってるのでちょっと混乱してしまいます。
こうやって文化って伝言ゲームで伝わっていくうちに変わって行くもので、
私はまさにその歴史的瞬間を目撃しているのかも知れません。
レオナルド・ダ・ヴィンチは、これまでの『最後の晩餐』の伝統的構図である、「裏切り者のユダはテーブルの反対側(手前側)に一人で座っている」のを変えて、同一の側に描きました。
ディズニーはアニメ『白雪姫』で「王子さまのキスで毒林檎の呪いが解ける」というこれまでにはない設定を入れて来ました。
宗教の儀式や意匠や意味解釈も芸術と同様に変容してきた。
変化を受け入れるのも良いし、伝統を守るのも良いし、
変化を憂いでも良いし、楽しんでも良い。
重要なのは、「知っておく」ことのように思うのでした。
最後までお読みいただき有り難うございました!!
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