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チャッピーに描いてもらいました。何度か修正したけど漢字の「聖」が出せなかったのでPhotoshopで似たフォントを探して雑に貼り付けました(ちょっとバレバレ)。AIの尻拭いがこれからのクリエイターの仕事かも知れない。。。 |
はじめに
ユヴァル・ノア・ハラリの最新作『NEXUS 情報の人類史』が話題です。
私は『サピエンス全史』『ホモ・デウス』『21Lessons』と全て持っていて大好きなんです。
何がすごいってめっちゃ面白いくて示唆に富むんだけど、予言は全てハズレているところなんです!
今回、この新作でハラリさんが「こうなってしまう!」と私たちに警鐘を鳴らしているところは、「ハズレる」という意味において参考になると思い、解説動画をいろいろ聞いてみました。
私たちの世界を「情報ネットワーク」というレンズで丸ごと捉え直す壮大な試みがこの本なのですが、
やっぱり面白い解説動画はロボマインドと岡田斗司夫さんです。
本記事では、その解釈の違いを分かりやすく整理し、読者が自分なりの “NEXUS コンパス” を手に入れられるよう案内します。
チャッピーが。
1|『NEXUS』の核心を 90 秒で
- 情報は人類史の燃料であり、羊皮紙に書かれた神話も、クラウドに眠るビッグデータも「ネットワークを編む力」という一点で連続している。
- その情報は大きく「物語(Narrative)」と「リスト(List)」に分けられる。前者は世界観を共有し、後者は世界を管理・操作する。
- AI はこの流れの延長線上にあるが、“人間以外の意思決定者” になり得る点で、歴史のゲームルールを塗り替える存在だ。
2|ロボマインド:可変性で読む『NEXUS』
🔑 キーワード:聖典型 vs 科学型
- 聖典型情報=「書き換え不可」。宗教や国家神話のように、人を束ねる絶対的な軸。
- 科学型情報=「検証&上書き可能」。実験データやオープンソースのように、誤りを潰して進化する。
▶︎ ロボマインドの主張
- AI 設計図としての『NEXUS』 — 聖典をハードコードした AI は「修正不能の神託マシン」になる危険がある。
- 解決策はアップデート・ループ — 科学型の“自己修正エンジン”をアルゴリズムに組み込み、「共感+訂正」ができる修正可能な神を目指す。
- 実証スタイル — 兵庫県知事の賛否分析や GAFA の「脳内エネルギー採掘」モデルなど、毎回 AI への応用例を提示。
補足|右脳と左脳から見るAIとハラリの盲点
ロボマインドの動画「第564回 NEXUS⑧ ハラリが見逃していること」では、ハラリのAI観に対して脳科学の視点から異論が提示されました。
特に注目すべきは、「AIの知能は右脳型である」という視点で、この指摘をしている人はロボマインドの田方さん以外でまず見かけません。
実はAIは論理的思考が苦手ということは案外知られていないんです。
1. 主要な発見:と、解説しています。これは「AIは左脳の重要な機能である意味理解ができていない」ということではないでしょうか?
研究では、6つの【USAMO2025】問題に対して6つの最先端【LLM推論能力】モデルを評価し、すべてのモデルが【数学的厳密性】の面で著しく低いパフォーマンスを示しました。最高スコアでも平均5%未満で、【論理的誤謬】、不当な仮定、【証明生成】の創造性不足などの一般的な失敗パターンが特定されました。これは【AI数学能力評価】における深刻なギャップを示しています。
AIは右脳型・左脳型?
- 左脳=言語、論理、因果、物語。ハラリが前提にしているのはこちら。
- 右脳=イメージ、音楽、直感、パターン。現在の生成AIが得意なのはこちら。
ハラリは、AIが知能を持てば人類を支配するようになると警鐘を鳴らしますが、これは左脳型知能を持つAIを想定しているとロボマインドは指摘します。
一方で、今のAIは音楽・画像・自然な文章の生成に長けていますが、物語構造や意味の理解には弱く、まさに右脳的な知能です。
さらに右脳には「自分」や「時間」の明確な感覚がなく、野心や支配欲も生まれにくいため、ハラリのような“支配するAI”像は右脳AIには当てはまらない可能性があるのです。
この補足を踏まえると、AIと人類の未来を読み解くには、「AIは右脳か左脳か?」という視点を持つことが欠かせないと言えるでしょう。
3|岡田斗司夫:用途で読む『NEXUS』
🔑 キーワード:知恵 vs 力
- 知恵 (Wisdom)=世界を深く理解し、長期視点で判断する光。
- 力 (Power)=大衆の感情を動かし、短期的に行動を促す武器。
▶︎ オタキングの主張
- ポピュリズムの正体 — 現代は情報を「力」としてのみ扱い、「知恵」を省いた決断が拡散する危うい時代。
- AI リスクは人間側にあり — AI そのものより、“便利だから” と集中構造を進める人間の習性が最大の脅威。
- 読書ガイドとしての『NEXUS』 — 厚い本で迷わないために「章タイトル→問い立て→物語/データ対比」の読解メソッドを提案。
4|ここが違う! \"情報観\" のクロス比較
観点 | ロボマインド | 岡田斗司夫 |
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分類軸 | 可変性:〈聖典〉 or 〈科学〉 | 用途:〈知恵〉 or 〈力〉 |
危惧 | 修正不能 AI が暴走 | 力だけの情報が感情暴走 |
処方箋 | 自己修正ループをシステムに埋め込む | ユーザーに批判的リテラシーを植え付ける |
ゴール | “修正可能な神” の創造 | “知恵優位の市民” の育成 |
ポイント:ロボマインドはシステム内面を、岡田さんはユーザー側面を強化しようとしている。
5|実践ガイド ― 二重レンズで世界を読み解く
ロボマインドの〈システムを修正する視点〉と岡田斗司夫さんの〈ユーザーが賢くなる視点〉。2つのレンズを自在に切り替えると、作品づくりも日常の情報摂取もグッと立体的になります。
- クリエイター視点:物語を“聖典”として打ち立てつつ、裏で 科学型アップデート を回し、世界観を育てる。
- リスナー/読者視点:「これは 知恵 か 力 か?」と自問し、心が動く理由を観察する。
- AI時代の市民視点:可変システム+批判的リテラシーの両輪で、修正可能 × 知恵優位 の社会デザインを目指す。
おわりに
岡田斗司夫さんは『NEXUS 情報の人類史』を「反トランプの警鐘本」と読み解きます。
一方で、ハラリはこれまでも大胆な予測を外してきた“ハズれ名人”。
もし今回も例に漏れないとすれば、トランプ現象はむしろ次の時代を開く触媒になる──そんな逆説も成り立ちます。
短期間の独裁・帝国化なら世界の景気が回復するかも知れません。
好むと好まざるとにかかわらず、トランプによって世界は変わるでしょうし、AIも加速していくでしょう。
トランプ大統領をどう捉えるかの分断もコントラストが強くなっていくように思います。
だからこそ、ロボマインドのエンジニアリング思考と、
岡田斗司夫さんのカルチャー思考を行き来しながら、
「修正可能なシステム」と「知恵を軸にした文化」を同時に育てることが鍵になるでしょう。
物語とリスト、知恵と力、聖典と科学──情報の二面性を抱えたまま、私たちは次のページへ進みます。
最後までお読みいただき有り難うございました!
追記
AIを暴走させない為の一つのアイデア
AIは瞑想で賢くなる?仏教の知恵が超知能の安全性問題を解決する方法(2025-04)【論文解説シリーズ】
1. 主要な発見:
この研究の最も重要な発見は、【コンテンプレーティブAI】(瞑想的AI)アプローチがAI安全性の向上に効果的であることを実証した点です。特に「AILuminate」ベンチマークを用いた実験では、GPT-4oに【マインドフルネス】、【空性】、【非二元性】、【無限の思いやり】という4つの【仏教的アプローチ】を組み込んだ場合、標準的なプロンプティングと比較して有意な安全性向上が見られました。これら4つの原理を組み合わせた【コンテンプレーティブAI】手法が最も効果的であることが示されました。
2. 方法論:
研究では【アクティブ推論】理論をベースに、【AI安全性】のための【内在的アライメント】手法を提案しています。具体的には【仏教的アプローチ】から導出した4つの原理を、【コンテンプレーティブAI】アーキテクチャ、【憲法的AI】、【チェーンオブソート】強化学習という3つの実装戦略で統合しています。改善点としては、【瞑想的知恵】の計算モデルをより厳密に定式化し、複数の宗教・哲学的伝統からの洞察を取り入れることで、より普遍的なアプローチに発展させる可能性があります。
AIアライメント:外部制御か、内なる価値観か?
上記の図(Figure 3)は、AIアライメント戦略を根本から考え直すうえで非常に重要な示唆を与えてくれます。AIが人類の知能を超える未来を想定したとき、「人間が外からAIを制御する」という従来の考えでは限界があるという警鐘です。
左の図:従来の外部アライメント | 右の図:提案された内部アライメント |
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この図の本質的なメッセージ:
「高度AIの時代には、罰やルールによる外的コントロールではなく、AI自身の“内なる価値観”をどう設計するかが最重要課題になる」ということです。
この研究では、この「内部的アライメント」戦略が単なる理論ではなく、実際に有効であることを示す実験も提示されています。AIの未来において、本質的に“共に生きる”方法を模索するための重要な視点です。
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