線譜について1〜10

風景ノイズ線譜
『上尾00』


【線譜】001

「曲」とは音楽のひとつで、聴こえない音楽もある。
物質化した音楽もあり、また、生物のように生え、動き、増殖していく音楽もある。


【線譜】002

私が描いてるのは絵ではなく「音楽」だと気が付いてから線譜と名付けてますが、
物質の基本単位が一次元の弦であるという仮説「ひも理論」を知った時「宇宙は壮大な弦楽合奏ではないか!?」と、驚きました。
「この宇宙は音楽で、私たちも音楽である」という仮説というか、シミュレーションのような、そして物語でもある世界または宇宙を線譜で描いています。


【線譜】003

曲は時間の流れに伴っています。
時間に沿って流れる曲だけが「音楽」だとは限りません。

例えば、曲の全体像が思い出す時、曲の長さ分を反芻することなく一瞬で脳裏に浮かぶように、

「線譜」は音楽を空間のように視るスコープでもあります。


【線譜】004

人、細胞、タンパク質、などはそれぞれの固有の音楽を持っていて、
それぞれが運動することによって奏でられる音楽があり、
それらのレイヤーは幾重にも重なり、また、ネットワークされ、
複雑で芳醇な調べを響かせている。


【線譜】005

「祈ること」と「描くこと」はとても似ている。
「祈り」と「音楽」はとても関係している。
そして私は音楽を描く。線で。
それを「線譜」と名付けたのです。


【線譜】006

曲が流れて来た場合、メロディやコード進行や構成よりも「音(のクオリア)」を聴いてしまいます。
かすれる声とかギターのカッティングの音とかバスドラの音とかグニョンてなるベース音とか。あと、とある場所で登場する半音っぽい音とか。

その部分的な音を抽出してミニマルに淡々と並べても良かったりします。


【線譜】007

好きになる曲は、1秒以内の感じで決まってしまうことってありませんか?
曲のほんの一瞬が曲の全体を含んでいるかのような。
きっと時間軸とは違う何かが音楽には織り込まれていると思うのです。


【線譜】008

子供の頃、家にあったリリー・マルレーンのシングルレコードをかけたら、胸が締め付けられて宙に浮くような感じを覚えてとても不思議に思った。
音楽のあのキュンとなる感じはノスタルジーの切なさとよく似てるが、小2にそんな追憶の感傷などないだろう。

なぜ、「過去を想う胸の痛み」と「音楽を聴いた時のキュンとなる感じ」がそっくりなのだろう?


【線譜】009

義務教育の間、一年の4分の1くらいは喘息で学校を休んでいた。
平日の街はまるで別人で、心細さと静かで落ち着く感じが入り混じっていて嫌いではなかった。
あの不安で静寂な空間はとても音楽的だった。


【線譜】010

段ボールハウスに絵を描いてる頃から「遠近法を使わずに奥行きを感じる絵を描こう」としてきました。
それは、アンチ西洋画、日本の絵の平面性への傾倒だったりしたのですが、
見えない軸、物質化されてない何か、またはちがう次元、を表現しようとしてるのだと思うようになってきました。

数学と芸術がとても関係してるのは、ひょっとしたら虚数を見る方法だからかも知れません。

(つづく)

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